法制史学会60周年記念若手論文集
法の流通

「法」とは何か――
選択・形成・循環のダイナミズムからとらえる
法制史学の未来への挑戦
2009年12月20日、慈学社
定価 9870円(9400円+税)、A5版 上製カバー 924ページ

法制史学会60周年記念事業「若手論文集」編集委員会

鈴木秀光(専修大学・東洋法制史)
高谷知佳(京都大学・日本法制史)
林真貴子(近畿大学・日本法制史)
屋敷二郎(一橋大学・西洋法制史)


目次    

序論 法の流通 高谷知佳 3〜5

パートT「収斂する法―秩序形成の諸相」総説 鈴木秀光 12〜17
享保期の養子法の改革と仮養子制度 稲垣知子 19〜48
明治初期における監獄制度の一転機 児玉圭司 49〜76
明治一四年「改正監獄則」下における監獄行政の展開と明治二二年「監獄則」制定への準備 姫嶋瑞穂 77〜106
Poena extrraordinariaと自由心証主義 藤本幸二 107〜142
年紀法の再検討 松園潤一朗 143〜170
江戸幕府裁判制度に関する一考察 安高啓明 171〜207
ドイツ絶対主義領邦における村役人 池田利昭 209〜236
秦・漢における亭の治安維持機能 水間大輔 237〜266
「獄成」の現場 鈴木秀光 267〜299

パートU「拡散する法―社会のダイナミズム」総説 高谷知佳 302〜308
初期中世日本の「裁許状」の機能について 佐藤雄基 309〜337
湯起請をめぐる室町人の意識 清水克行 339〜360
中世南フランス都市トゥールーズにおける公証人と法実践 図師宣忠 361〜384
都市法の内と外 高谷知佳 385〜420
『延暦儀式帳』撰進と弘仁大神宮式編纂の政治的背景 久禮旦雄 421〜466
ビザンツ帝国を救うべき新法 橋川裕之 467〜499
ドイツ王権による修道院保護とシトー会総会 大貫俊夫 501〜527
司法政策と社会調査 久保秀雄 529〜551

パートV「越境する法―法のダイナミズム」総説 林真貴子 554〜559
井上毅の参事院構想 天野嘉子 561〜586
中華民国民法親属継承編起草作業と慣習調査 西英昭 587〜607
帝国日本の行政救済法制 小野博司 609〜637
日本における法専門職の確立 林真貴子 639〜665
占領管理体制の法的特質 出口雄一 667〜690

パートW「対流する法―概念と実践知」総説 屋敷二郎 692〜696
オットー・ギールケとフーゴ・プロイス 遠藤泰弘 697〜720
英国における独立契約者(Independent Contractor)概念形成前史 高友希子 721〜749
明治前期における「自然後見」概念と「家」原理 宇野文重 751〜779
「条理」の法思想史 小沢奈々 781〜810
清代秋審条款考 赤城美恵子 811〜848
「中華民国」における訴訟知識の伝播 加藤雄三 849〜872
アルトゥール・ヌスバウムの法事実研究 屋敷二郎 873〜901

あとがき   903〜905
年表   906〜907
索引   908〜916
執筆者紹介   917〜922



概要(抄)

     30本程度の論文を収めた約600頁の論文集を、2009年中に刊行する。
     投稿論文の制限文字数は、20000字とする。
     応募資格は原則として、2008年6月時点で満40歳以下の法制史学会会員とする。

       2008年6月30日 応募締切 38件の応募がありました。
       2009年1月31日 査読用原稿提出締切 30本の投稿がありました。
       2009年4月 3日 査読結果の通知 査読が終了しました。
       2009年6月30日 再査読用原稿提出締切 29本の原稿が提出されました。
       2009年8月 5日 再査読結果の通知 査読が終了しました。
       2009年8月30日 完成原稿提出締切 29本の完成原稿が揃いました。
       2009年10月21日 初校戻し期限  
       2009年11月20日 再校戻し期限  
       2009年11月30日 校了 校了しました。
       2009年12月20日 刊行 刊行されました。
     準備から刊行に至る諸々の段階における皆様のご協力に心より感謝いたします。
     本当にありがとうございました。



趣意(抄)


 2009年、法制史学会は創立60周年記念事業として、若手研究者の斬新な研究を促進し、 また学界を活性化することを目的に、若手論文集を刊行する。
 各分野の若手会員から選出された編集委員会が 設定した本論文集のテーマは「法の流通」である。
 「法」とは何か――法制史学を貫くこの大きな課題に対して、 国家や権力が定立した法にはじまり、社会の中で形成されてきた慣習的な秩序・前近代史料の 「法」文言から読み解かれる法意識など、多様で豊かな「法」が見出されてきた。
 そして法は、変わらぬ平板な規範でありつづけるのではなく、 刻々と変化する政治・経済・文化の波につねに晒されながら、 諸々のアクターの織り成す歴史の中で、あるときは不可避的に、 またあるときはしたたかに、形成され、選び取られ、活用されてゆく。 そのダイナミズムは、法継受や伝播のみにとどまらぬ、 多元的・循環的な「流通」と呼ぶことができる。
 「法の流通」をとらえることは、 社会の全体構造の中における法のあり方を問うことである。
 若手会員各位には、奮ってご執筆いただきたい。

(企画趣意書の全文および応募様式・執筆申込書は 下記のリンクからダウンロードしてください)

企画趣意書応募様式執筆申込書 (PDF Format Files)